2011年03月10日

小話。

ビルダー、使えないんですー、ということで、
ここに書いてみました。

ティガの16話、28話の後日譚、くらいな感じ?

本当は、マユミ視点で、ヤズミと仲良くなる過程とか書いてみたかったんですけど、なかなかうまくいかず、こんなになってしまいました。
ありゃりゃ。

まあ、私の中では「うたかたの・・・」はすでに「神」回とでもいうのかしら、と化してしまっておりますので、きっとしつこくしつこーく、書いていくと思われます。えへへ。

でも、何が言いたいんだか、よくわからない話になってしまった。ううーむ・・・。
リハビリということで、ご容赦くださいませ・・・。





「まったくもう!お兄ちゃんの職場のあの、若い子!なんとかしてよ!」
マユミはすごい剣幕で、拳骨でテーブルをどん!と叩いた。
「まあ、マユミ、落ち着けって、な?」
とマユミを宥めるシンジョウも、マユミの前では形無しだ。
シンジョウに連れてこられたダイゴは、ああ、まずいところに連れてこられた、とこっそり肩をすくめた。

シンジョウが、明日の夕方、マユミと3人で食事に行こう、と誘ってきたのは、昨日の夕方だった。
シンジョウは明日の夕方から一日非番、ダイゴもちょうど夕方は休憩に入るから、その時間なら、とOKしたが、兄妹の水入らずの場に入るのも、と思いつつも、マユミが悲しい思いをしたことに少なからずどこか罪悪感のあるダイゴは、マユミがらみの話を断れない。
それはシンジョウとて同じなのだろう、妹からの呼び出しには万難を排する勢いで従ってしまう。

「落ち着けないわよ!」
ますます怒りを増幅させるマユミに
「ま、落ち着け、な?落ち着けって・・・」
宥めながら、困り果てた顔をしながらシンジョウはダイゴを振り返って目で訴えた。
ダイゴは、無理やり笑顔を作りながら、
「そうだよ、マユミちゃん、ちょっと落ち着こうよ。それで、その、若い子ってのは、ヤズミのことかな?」
「そう!その子!」
「その子、ってお前、お前と大して変わらないだろ?」
「変わるわよ!」

マユミが言うには、こうだ。
ヤズミのような軍国主義者がいるからミリタリズムが台頭し、ミリタリズムが台頭するから、怪獣が出てくるのだ。
だから、怪獣が出てくるのはヤズミ(を代表する軍国主義者)のせいなのだ。
いっぺん、武器を捨ててみればいいのだ、そうすれば怪獣は出てこなくなる。
怪獣が出てこなくなれば、大切な人に会えなくなる人もいなくなる。

「お前なあ・・・」
怒りを含んだ溜息を、シンジョウが飲み込む。
わかっているのだ。マユミの気持ちは。
だが、武器を捨てれば怪獣が出てこなくなる、というその論理の根拠が全く分からない。
というか、論理の飛躍にも限度があろうというものだ。
だいたい、武器を持たない自分たちのもとに怪獣が現れたらどうなるのだ。
マユミはまったくわかっていない。
大切な人に会えなくなる人、が一人や二人では済まなくなるのだ。
そういう人であふれてしまうほど、恐ろしいことになる可能性だってあるのだ。

シンジョウの横顔を、ダイゴもやり切れない思いで見つめていた。
ダイゴにも、怪獣が出てくる理由は分からないままだ。
そして、それに対抗しうる力を持つティガという力そのものも、さらにそれが自らであることの理由も。

先日の戦いで、痛みを堪えながら怪獣に向かっていく中、ダイゴの胸に浮かんだのは大切な人たちの顔だった。
彼らを守りたいから自分は戦うのだ。
戦う理由を見失いそうになった時、ダイゴはそのとき、そう、自分で答えを出したのだ。
それが本当の正義でなかったとしてもかまわない、それが自分の答えなのだと。


ぼりぼりとシンジョウが頭を掻いた。
マユミを泣かせた怪獣を許せない気持ちは、シンジョウの中でさらに増幅している。
その怪獣を倒すために奔走する自分を、そのマユミ自身が否定しにかかる。
混乱と逡巡、正義感と後ろめたさ、怒りと諦め、それらすべてが綯交ぜになった自分を宥めるための行動だ。
溜息を飲み込んだシンジョウの胸の内を思い、ダイゴはそっと視線をそらした。


「はい、カツ定食大盛り2丁、お待ち!カツカレーはお姉さんでいいのかな?」

威勢のいい声がして、三人ははっと振り向いた。
「はいはい!あたし、カツカレー!」
急にニコニコとマユミが手を挙げて、給仕の若者に答えた。
ほっとした顔で、シンジョウが
「サンキュ!」
と定食のトレーを受け取った。
「おいしそう!」
マユミの小さな歓声に、シンジョウはマユミを見つめる。
張りつめた空気が、やわらかな湯気と香気であっという間に和らいでいく。
マユミが「いただきます」と小さく手を合わせ、スプーンでカツカレーを口に運ぶのを、シンジョウとダイゴは固唾を飲んで見守った。
「まったく!もっとおしゃれな所かと思ったのに!でも、美味しいから許す!」
「そ。そうか。」
急に空気の変わった妹の言葉に、シンジョウはやっと笑顔を浮かべ、自らの割りばしをぱきりと割る。
いただきます、と手を合わせる男二人を見比べながら、マユミは、小さく、ふふ、と笑った。
「ま、お兄ちゃんにおしゃれなところを期待するほうが間違ってるけどね、ね、ダイゴさん?」
と追い討ちをかけるマユミに、
「あはは、きついね、マユミちゃん」
とダイゴも笑った。
「なんだよ、二人とも!」
小さく怒って見せるシンジョウに、マユミとダイゴはもう一度笑った。
和らいだ空気はそのまま続いた。
言いたいことは山ほどあっただろうマユミも、それに反論したかっただろうシンジョウも、もう、何も言わなかった。
ただ、三人で、食べて、喋って、笑った。
これが、今だけなのだとしても、傷から目をそむけているだけなのだとしても、かまわない。
ダイゴは、そう思った。

マユミを送っていく、というシンジョウに別れを告げて、ダイゴはひとり、TPC本部に戻るべく道を急いだ。
傷が癒えるのはまだまだ先だろうけれど、それでも、生きて、小さな幸せを噛みしめていってほしい。
それが、マユミを生き残らせたタクマの願いだろうから。

ダイゴの記憶の奥で、プラズマの向こうに消えたタクマが、小さく笑ったような気がした。


posted by イラ at 03:05| Comment(0) | 小話
この記事へのコメント